My life in Oxford

ついに、私のオックスフォードでの3ヶ月の滞在が終わり、3月18日に日本に帰ってきた。イサカでの生活をこのエントリーにまとめたように、オックスフォードで学んだことを、ここにまとめたいと思う。


  • Seminar series

オックスフォードでは、3種類のセミナーに参加した。私のスポンサーであったColin MillsさんやNissan Institute of Japanese StudiesのEkaterina Hertogさんによれば、「オックスフォードの『問題』は、セミナーが多すぎること」、だそうだ。

まず、社会学部(Department of Sociology)が主催する、月曜日お昼のソシオロジーセミナーがある。Nuffieldから社会学部がある建物までは、歩いて約20分。ちょっと距離があるけれど、オックスフォードの中心を抜けていくので、歩いて行くのが楽しかった。セミナーは12時半開始だけど、ランチ(サンドイッチ)が提供されるので、まずこれを食べてから、セミナーを始める。

この社会学セミナーでは、様々な発表を聞いた。中国における教育達成の男女間格差や、社会不平等を研究する際の職業カテゴリの有用性の研究、ソーシャルメディア時代における労働の変容について、ナイジェリアからイタリアへの人身売買の研究、中国におけるゲイ・レズビアンの「名目上の結婚」の話、など。コーネルでのセミナーと比較すると、やっぱり、イギリス以外から来る人が多くて、また、色々な国を対象にした研究があった、と感じた。Millsさんによれば、オックスフォードの社会学のスタッフに関しては、イギリス社会を研究している人が少数派だ、ということだった。

次に、Nuffield Collegeのソシオロジーグループが主催する水曜日の夕方5時からのセミナーに出席した。ここでも、いろいろな話を聞いた。生活の質(Quality of Life)指標の研究、イギリスの政府統計を用いた自閉症の研究、子どもが産まれた後、夫と妻がどのように仕事を調整するかどうかを探究したアメリカの研究(スピーカーはコーネルの人だった)、アメリカのヒスパニック移民の健康に関する研究、インターネットでの売買関係における信頼についての実験と調査を組み合わせた研究、など。ソシオロジーセミナーに比べると、大物というか、高齢の研究者の発表が多いように感じた。最後のスピーカーはRobert Eriksonさんだった。

最後に、Nissan Institute of Japanese Studiesが主催する木曜日のセミナーがある。ただ、このセミナーには、2回しか行かなかった。NuffieldからSt. Antonyの建物が遠いということもあって、またNuffieldで用事が入ってしまうことがあったりして。私が聞いた2つの発表は、両方とも日本人の方の発表だった。発表はもとより、質疑応答を聞くのも楽しかった。ああ、オーディエンスは日本のこういうところに関心があるのだな、と。そして、日本人研究者(あるいは日本人)にとって「常識」であるようなことも、案外知られていないのだな、と感じた。

  • Social interaction

やっぱり、オックスフォードでの滞在で得た一番の収穫は、色々な人と交流できたことだった。Nuffieldでは、ブレックファーストとランチ、ディナーが提供されている。なんと、訪問研究員はすべて無料である。また、ポスドクも無料なのだそうだ。訪問研究員にはプライベートオフィスも提供されるし、いろんな人が、「オックスフォードで訪問研究員をしたい人はたくさんいる」と言っていることの意味が分かった。そして、Nuffieldの食事は、イギリスで一番美味しかった。


(これはブレックファーストの写真)

ブレックファースト、ランチ、ディナーは、ダイニングルームで提供される。ここで、食事を楽しみながら、いろいろな人と話をすることができた。特に、火、水、木、金曜日はHigh Table Dinnerがあるのだが、これが大変興味深かった。ディナーを楽しむにも、いろいろなルールがある。このディナーに出席して、GoldthorpeさんなどのNuffieldの研究者が、ClassやStatusという概念にこだわる気持ちが、わかった気がした。アメリカでは、ちょっと考えられない。

毎日、ランチをたっぷり食べるので、ディナーはいつも軽めにした。無料とはいえ、毎日Nuffieldのディナーに出ると食べ過ぎになるので、High Table Dinnerには週一回だけ、水曜日のセミナー後に出席することにした。ここで、イギリス、アメリカ、トルコ、ドイツ、フランス、南アフリカイスラエル、日本、中国、イタリア、ロシア、オランダ、ポーランドスウェーデン、色々な国から来ている人に出会った。アメリカ(コーネル)では、アメリカ人かアジア人(中国人や韓国人)が多かったので、色々な国から来る人と話をする機会があってよかった。そして、色々な国からイギリスに来ている人は、日本のことにも興味を示してくれることが多かった(ただし、私の印象では、アメリカ人以外は・・・)。ここで会った人たちと、話をすることは、いつも興味深かった。とはいえ、私1人+Native English Speaker(あるいはNativeに近い人)多数で会話をすることには、いつも難しさを感じた。特に、ランチやディナーではたくさん人がいて、ホールが騒々しいので、そこで食事を楽しみながら会話をすることは、大変だった。1対1とか、数人でする会話に関しては、自分でも「英語が上達したかもしれない」と感じた。でも、「達成できたこと」を感じる時はいつも、「まだ達成できていないこと」を実感する時であるのかも、と思った。


(ディナーの前後に会話を楽しむホール)

  • Learning about the British society

オックスフォードにいる間は、ニュースをチェックしたり本や論文を読んだりして、イギリスのことを理解しようと努めた。イギリス社会のことは、これまでほとんど知らなかったので、この社会のことを知ることができて、よかった。例えば、イギリスでは、集合的交渉制度が崩壊していること。イギリスの労働者は現状肯定的な傾向にあること、他のヨーロッパ諸国と比較して、賃金格差が拡大し、低賃金、低技能労働者が増えていること。物価が上がっていて実質賃金が下がっていて、特にハウジングコストがcrazyなこと、など。Millsさんは、「イギリスはヨーロッパからは段々離れていって、アメリカ化している」と言っていた。イギリス社会について調べたことは、『日本労働研究雑誌』の「フィールド・アイ」という連載シリーズの最終回に寄稿した。ただ、私がオックスフォードに滞在したのは3ヶ月だけだったので、表面的な理解しかできていないかもしれない。でも、同じアングロサクソンの国とはいえ、そしてイギリスが「アメリカ化」しているとはいえ、イギリスとアメリカはずいぶん違うところがある。このことを実感できたことはよかった。

私は2年間、在外研究をして、どれだけ、研究を深められたかはわからない。でも、本当に色々なことを学ぶことができた、と感じている。これらは、私のこれからの研究のヒントになるだろう。30代の前半でこういう経験ができたことは、本当によかったし、私はとても幸せだと思った。


(1st floor at the Library)

  • Exploring Europe

アメリカでは、各地で開催されるカンファレンスに出かけていくことが、本当に楽しかった。それで、旅行中、いろいろなトラブルに遭遇したけれど、それも今となっては懐かしい思い出だ。今回、イギリスに移住したもう一つの目的は、アメリカだけではなく、ヨーロッパ諸国のことも知りたい、と思ったこと。アメリカと比較して、ヨーロッパはとても狭い。色々な国に、本当に簡単にいくことができる。3ヶ月の間、イギリスではレスターとロンドン、イギリス以外ではパリ、ブリュッセル、ベルリン、プラハに出かけていった。

私は、色々なところに出かけていくことが訪問研究員の醍醐味だ、と思っている。オックスフォードでの勉強に集中したかったのでそんなに頻繁には出かけることはできなかったけど、一つ、国際的なカンファレンスに参加することができた。ブリュッセルで、European Trade Union Instituteが主催するWomen's work and healthに参加できたことは、本当によい経験だった。

イギリスとアメリカがだいぶ違う国であるように、「大陸ヨーロッパ」、「中央ヨーロッパ」、あるいは「旧共産圏」とグルーピングされる国であっても、それぞれの国は、それぞれに異なる側面をもっている。改めて考えたのは、日本のことを知るためには、どの国と比較することが有益であるか、ということ。どの国と比較すると、日本のどんなことが明らかになるのだろうか、ということだった。今は公開データが整っているので、一昔前と比べると、信じられないほど簡単に国際比較研究を行うことができる。私もいくつか国際比較研究に着手したけれど、行ったこともない(あるいは、あまり知らない)国を対象にして国際比較することには、慎重であるべきだと思っている。特に、ヨーロッパは日本から遠く、日本と事情が異なるし、私には知らないこともたくさんある。私は、日本に来る前は、国際比較研究をしてこなかった。ただ、もちろん、英語で読める諸外国の研究については参考にしてきた。でも、それらの研究が生まれた社会的背景について、昔は必ずしも十分に理解できていなかったと感じている。今は、アメリカやイギリスの研究を読む時に、その研究で明らかにされた事実を、その社会背景と共に理解することができる。だから私は、自分なりの国際比較研究のやり方を、これから考えていきたいと思っている。また、やっぱり私の分野で考えると、データの質や分析手法に関しては、アメリカや、ヨーロッパの国々の方がだいぶ進んでいる。そのような諸外国の研究を日本に紹介することは重要だと思う。そして、国際比較研究をしないとしても、日本のデータを解釈する際にも、国際比較の視点から考えることは、本当に大事なことであると感じた。

  • おわりに

オックスフォードで経験することができなかったことは、学部や大学院の授業に出席する、ということだった。Nuffieldには学部生がいないし、大学院に関しても、個人指導が主なので、ちょっと調べてみたけど、私が出席できそうな授業がなかった。この点に関しては、コーネルで色々な授業に出席して、その内容もさることながら、学部生や大学院生の反応について学べたことは、貴重な体験だったと感じた。特に、ここでの学部生と知り合いになれなかったことは、ちょっと残念だった。

オックスフォードでの滞在は3ヶ月に過ぎなかったけれど(訪問研究員としては2ヶ月の滞在)、ここで、本当に色々な人に出会うことができた。1年9ヶ月、イサカで過ごしたけれど、イサカで出会った以上の人(研究者)と、オックスフォードで出会うことができた。でも、こうやってオックスフォードで色々な人と交流できたのは、イサカで英語の特訓をしてきたから、ということがあると思う。ここでのコミュニケーションは、イサカの時と比べると非常にスムーズにいったと感じた。

イギリスでは(日本と同様に)量的研究が少数派である。だから、Nuffieldで量的研究を行う人は、イギリス内の学会よりも、International Sociological Association(ISA)のRC28に出かけていくことが多いのだそうだ。ここで出会った人の多くは、RC28のメンバーだった。つまり、RC28に参加し続けると、これからもオックスフォードで会った人たちと交流し続けることができる、ということだ。最後に、”See you at a meeting of RC28 someday!”と言って、色々な人と別れた。RC28のミーティングには、必ず、「本気の論文」を出し続けようと心に誓った。

以上、私のオックスフォードでの経験を綴ってきた。こうやってまとめてみると、短い間だったけど、本当に色々なことがあったな、と思った。Nuffieldのvisitorshipに関しては、最初は断られてしまったけど、空きができて滑り込むことができた、という経緯がある。こういうことを考えても、私は本当にラッキーだった。コーネルではMorganさんが異動したりしてアンラッキーだなと思っていたりもしたけど、そのようなアンラッキーをラッキーに変えることができて、本当によかったと思う。この冬は、イサカはsuper coldだったというし、オックスフォードに移住したことは、私の2年間のサバティカルをずっとずっと充実したものにしてくれた。

この2年間、色々な人に優しくしてもらい、助けてもらった。このことを、私はずっと忘れない。私のサバティカルは終わるけど、私は、これは「終わり」ではなく、「始まり」だと思っている。2年間学んだことを、これからの私の日本での研究にどう生かせるか、そのことを真剣に考えていきたいと思う。

Women's health and work, in Brussels

I traveled in Brussels, Berlin, and Prague on 3-11 March. In Brussels, I attended the conference, Women's health and Work, sponsored by the European Trade
Union Institute.

This conference is very international. Many people come from different
countries in Europe. I enjoyed talking with those who come from the UK and
Denmark during lunch. It is always interesting to learn about different
countries. I listened to presentations by scholars form France, Italy, Spain,
Bulgaria, Portugal, the UK, Belgium, and Canada. The presenters spoke in
different languages. Simultaneous translations into English, French, Spanish,
and Italian were provided, but I sometimes felt it was difficult to catch what
speakers said in languages other than English. Although I am struggling to
learn English, I feel like learning another language. English is just one of
foreign languages, of course.

Because speakers talked about a variety of topics related to women’s health
and work, it is difficult to summarize the conference. I was impressed to
learn different situations and contexts in European countries. For example,
some scholars focused on post-communist countries. These countries have
different characteristics in terms of women’s positions in the labour market.
Nevertheless, their presence is not emphasized in standard frameworks such as
Esping-Andersen’s welfare regime. I was glad to learn about these countries.

There are a variety of research topics regarding health and safety issues at
workplaces. This area is also interdisciplinary. I learned that night shift
would cause a risk of cancer. To do research different types of diseases
including cancers which are caused by specific working conditions, we can
collaborate with scholars of different disciplines such as epidemiology.

By the way, I posted a picture of "Karoshi in Japan", a shame in the Japanese
society.

3月3日から11日まで、ブリュッセル、ベルリン、プラハを旅行した。今回の旅行の目的のひとつは、ブリュッセルでカンファレンスに出席すること。今回出席したのは、European Trade Union Instituteが主催する、Women's health and Workという会議。

ヨーロッパの様々な国の人々が参加。発表は主に英語とフランス語で時々、スペイン語。英語、フランス語、スペイン語、イタリア語への同時通訳が提供されているので、英語しかわからない私でもなんとか楽しめた。でもやっぱり同時通訳は聞きづらいので、英語以外に、せめてフランス語がわかったらもっと世界が広がるのだろうなあ、と思った(スライドの文字が読めたら、だいぶ違うと思った)。

とにかく、ヨーロッパの色々な国の話が聞けて、楽しめた。やっぱり、これがヨーロッパにいる醍醐味なんだなあ、と実感。

私が参加したセッションは以下の通り:

  • Plenary 1
    • Gender, working conditions and health - headlines from the European Working Conditions Survey, Colette Fagan, University of Manchester
    • Work organisation and how it affects health: do men and women face the same hazards?, Katherine Lippel, University of Ottawa
  • Workshop 2: Health inequalities, division of labour, gender inequalities and structural causes of vulnerability
    • Determinants of occupational health in the EU15 and introduction of a globalisation indicator: is there a gender difference?, Marine Coupaud, Université de Bordeaux 4
    • Towards an organisational approach to prevention of inequalities between men and women in the areas of pay, health, and career, Florence Chappert, Agence nationale pour l'amélioration des conditions de travail, Hélène Plassoux, Association régionale pour l'amélioration des conditions de travail de Bretagne
    • Compensating for the inequalities experienced as a woman and/or an immigrant: the case of musculoskeletal occupational diseases in Italy, Silvana Salerno, Agenzia nazionale per le nuove tecnologie, l’energia e lo sviluppo economico sostenibile
    • Disease at work: what health and conflicts reveal about work organization, Anne Jacquelin, Université Paris 8
    • Effects of the sexual division of labour in cattle-breeding on MSD among women workers, Sandrine Caroly, Université de Grenoble
    • Unequal working conditions in female- and male-dominated occupations in Swedish, Municipalities, Mats Ryderheim, Arbetsmiljöverket
  • Plenary 2
    • Workshop reports by Carolina Recio, Universidad Autónoma de Barcelona Gender at work and varying forms of exposure, Elke Schneider, European Agency for Safety and Health at Work (EU-OSHA)
    • Gender division of work, working time and health in Europe, Lucia Artazcoz, Agència de Salut Pública de Barcelona
  • Workshop 4: Organization of working and private time. “Double shift”, health impacts of interactions between work and private life
    • What can be learned from conversations with women bus drivers in the context of a traditionally male-dominated occupation, Liliana Cunha, Universidade do Porto
    • Do part-time women secondary-school teachers experience discrimination?, Dominique Cau-Bareille, Université Lyon 2
    • The issue of work-life balance in Bulgaria, Siyka Kovacheva, University of Plovdiv
    • Work-life balance in Central and Eastern Europe from the perspective of women's health -findings from the European Working Conditions Survey, Štěpánka Lehmann, Research Institute for Labour and Social Affairs
    • Working time and social time. Efforts to influence ‘twofold presence’, Neus Moreno Saenz, Comissions Obreres de Catalunya
    • Combining work and health : some examples provided by CGTP-IN female activists in Portugal, Maria José Maurício, CGTP-IN

そして、以下は感想など。

  • この会議には、労働組合関係者、(研究機関や大学の)研究者など、約150人の人が参加。発表者は、主に研究者で、若い人(大学院生など)が多かった。私が聞いたのは、フランス、イギリス、カナダ、スウェーデン、イタリア、スペイン、ブルガリアについての発表。美味しいランチが提供されたのだが、ランチの時間には、ブリュッセルの研究機関で半年間のインターンをしているという女性にあった(デンマークの大学のマスターの大学院生、だそう)。また、ニュージーランドの大学で社会政策について数10年教えて、その後イギリスで自営業をしているという女性にあった。ジェンダー平等に関する情報の紹介などの仕事をしているらしい。ランチの時間では、イギリス、デンマーク、日本、他の国についての女性の状況について、情報交換をした。デンマークの女性は、平均して約半年の育児休暇をとるそうだ。また、女性が半年育児休暇を取り、その後、男性が半年休暇を取り、というふうにしているケースも多い、ということだった。私は、育児休暇を1年以上とることは「休みすぎ」だと思っているので、デンマークのシステムは理想的に感じた。
  • 研究発表の質に関しては、特に優れている、という感じはしなかった。ポイントを絞った研究発表というよりは、現状の紹介、というものが多かった。特に、European Working Conditions Surveyというヨーロッパの比較調査に焦点が当てられていた。5年ごとの調査で、利用可能な最新のものは、2010年のもの。今年、2015年の調査が実施されているそう。
  • 労働条件の良さ、ジェンダー平等、ワーク・ライフ・バランスに関しては、ヨーロッパのなかで、はっきりとしたハイアラーキーがある。北欧諸国が良くて、大陸ヨーロッパが中間で、中央ヨーロッパ南ヨーロッパが悪い、イギリスも悪い。そして、イギリスは、しばしば”the worst country in Europe”としてランク付けされる。このことについて、イギリス人はどう思っているのかと思った。私も、「日本が悪い」と言われると、(たしかにそうなんだけど)悲しく、情けない気持ちになってしまうので(今回は、日本の「不名誉な事実」、過労死が紹介されていたし)。また、このように異なる歴史的、制度的背景を持つ国が、「よりまし(better)」な状況を達成するためには、どうしたらいいのか、ということも考えた。このことに関しては、その社会の個人、労働者の行動や意識を組み込んだ制度変化の理論が必要だと思った。
  • ジェンダー平等について議論する際には、必ずしも、標準的な福祉国家の枠組みが適合するわけではない、と感じた。たとえば、Esping-Andersenの福祉国家類型論の枠組みでは、「前共産圏国(post-Communist country)」に焦点が当てられていない。しかし、ジェンダー格差や労働条件について分析すると、これらの国は別個のクラスターを形成するそうだ。そして、前共産圏国は、「共稼ぎで女性のケアラー(double earner/women carers)」と特徴づけられるのだそう。そういえば、前に、” More women work in east than west: Study”という記事を読んだことを思い出した。この記事によれば、旧西ドイツよりも旧東ドイツの方が女性の雇用率は高く、常時雇用も多い、ということ。これは、東西の文化的違いを反映している。西では共働きがより一般的ではなく、子どもを持つと女性は仕事を辞める傾向にあるということだ。ちょうどブリュッセルの後にベルリン、プラハを旅行したので、とりわけ、このクラスターに興味深く感じた。
  • 仕事と健康の議論は、もっぱら、男性についてされることが多い。どの国でも、男性の方が長時間働く傾向にあるからだ。しかし、家事や育児の時間を入れると、状況は変わってくる。仕事の時間と家事・育児の時間を合計すると、女性の方が長く働く傾向にあるのだ。そして、このような長時間労働は、女性の健康に悪い影響を与えている。こういった側面に、もっと目が向けられるべき、だと思った。
  • 様々な病気、たとえばガンの発生条件についての研究も進んでいるそうだ。たとえば、夜のシフトはガンの発生率を高める、という話も聞いた。こういった研究はあまり知らなかったけど、チェックしておく必要があると思った。そして、こういう分野こそ、医学、疫学などと一緒にコラボレーションする必要があると感じた。
  • いろんな言語が飛び交うカンファレンスでは、英語がただの一つの外国語でしかないことを実感した。私の分野では英語を習得することに一番のメリットがある(のでそうしてる)けど、それはただ一つの選択でしかない、ということがよくわかった。今回、印象に残っているのは、カンファレンスで、イタリアの人がイタリア語で発言したこと。英語、フランス語、スペイン語からの通訳は提供されていたけど、イタリア語からの通訳は提供されてなかった。「他の言葉は話せないの?」と言われながら、彼女はイタリア語での発言を続けた。イギリスやフランス、スペインが先駆けて世界を侵略してなければ、戦後にアメリカがあんなに成長しなければ、世界の言語地図は今とはまったく違うようになっていたはずだなあ、と実感したのだった。

Harpsichord Recital at Keble College Chapel

Last night I enjoyed a harpsichord recital of Mahan Esfahani at Keble College
Chapel, Oxford. This is one of a series of Early Music Festival 2015.

This was my first time to listen to live sound of a harpsichord. It was amazing!
We could take a close look at the harpsichord during break time. It was a very
beautiful instrument.

Mahan Esfahani is an Iranian-American harpsichordist. He studied musicology
and history at Stanford University. He has gained an international reputation as
a concerto soloist and recitalist. He was the Artist-in-Residence at New College,
Oxford from 2008 to 2010.

I was moved by his skillful, beautiful and impressive play. The harpsichord has
no pedal, so it is easy for listeners to catch mistouching. But his play was
perfect! He played Gibbons, J. S. Bach, Couperin and Scarlatti. I had heard some
pieces of Bach, but I was not familiar with other composers. Mahan explained the
composers and the pieces he played. He also talked about his experiences in
Oxford. I think a chapel is the best place to enjoy early music played with a
harpsichord.

昨日は、Keble Collegeでのハープシコードチェンバロ)リサイタルに行ってきた。奏者はMahan Esfahaniさん。私は知らなかったのだけど、チェンバロ奏者として有名な方なのだそう。スタンフォード大学で学び、オックスフォードにも一時期在籍していた時期があるのだそう。

演目は、ギボンズ、バッハ、クープラン、スカルラティ。バッハ以外の曲は聞いたことがなかったけど、どれも素晴らしかった。チェンバロはピアノに比べて強弱が付けにくくペダルもないのだけど、この小さな楽器から多彩な音が出されることに驚いた。

先日のオルガンリサイタルに続き、なかなか聞くことができない貴重な音楽を聞くことができて、大満足!

Karl Marx tour in London

I joined a walking tour of Karl Marx in London.

It was a very cold day. I was frozen to my bones after walking outside for three
hours. But, the tour was interesting. Our guide, Heiko, explained about his
life and thought in detail while walking in the streets related to Karl Marx.


ロンドンでは、カール・マルクスツアーに参加した。

ピカデリー・サーカス駅近くで待ち合わせ。15人くらいが参加。主にヨーロッパからだったけど、一人、日本人の方がいた。なんと都市社会学者の方で、色々とお話した。

いくつかの場所を巡って、最後は大英博物館まで行った。距離にしては短いけど、途中でガイドさんが色々とお話をしてくれたので、全部で3時間かかった。バーでの休憩を除いてずっと外だったので、身体が冷え切ってしまった(また、ガイドさんの話も長かった・・・)。

訪れた場所は、『共産党宣言』を完成させるため共産主義者同盟の第二回大会が開催された場所、マルクスがロンドンに来てから初めて訪れた場所、マルクス一家が極貧生活を過ごした場所など。

この写真は、フェティズムについて説明する、ガイドさん。

Geffrye Museum

I visited the Geffrye Museum in London.

The museum is located in the northeast of London, near the Hoxton station. I
headed for the museum from the Tower of London. I thought it would take about 30 minutes, but it took more than double. Some subway lines were closed due to
maintenance, so I had to get off on my way to Hoxton and have to take buses. It
was annoying! However, It was fun to walk in the streets. When I walked along
the whitechapel road, I noticed there were many Muslims. It is a resident area
for Muslims. I had learned that the population of Muslims is increasing in the
UK, but I did not know where they live.

The Geffrye Museum was great! Actually I enjoyed more than the British
Museum. Founded in 1914, the Geffrye Museum is specialising in the history of
the English domestic interior. The museum shows the changing style of the
English domestic interior in a series of eleven displayed period rooms from 1600
to the present day. The emphasis is on the furnishings, pictures, and ornaments
of the urban middle classes of London.

I am interested in lives of the middle classes. Also I love British interiors.
It was so exciting!

Billy Elliot the Musical

I enjoyed watching Billy Elliot the Musical at the Victoria Palace Theatre.

Although I enjoyed musicals several times in New York City, it was my first time
to see a musical in London. I chose a British story because I want to know more
about the British society. The plot revolves around motherless Billy, who trades
boxing gloves for ballet shoes. The story of his personal struggle and fulfill-
ment are balanced against a counter-story of family and community strife caused
by the UK miners' strike (1984–1985) in County Durham, in North Eastern
England.

It was a great play. I was moved by very cheerful singings and dancing. Espe-
cially I was impressed by the scene of Billy and his best friend Michael. Billy
is not sure what he wants to do so he visits Michael for advice. He finds Michael
wearing a dress. He persuades Billy to have fun with him by dressing up in
woman's clothing and disdaining the restrictive inhibitions of their working
class community ("Expressing Yourself"). Billy, Michael, and dresses performed
very lovely dances. I had never seen such a charming stage.

I really enjoyed the contract between a lovely ballet world and a masculine
mining world. Unfortunately the stage suddenly stopped because of a machine
trouble. I was very satisfied with the show except for it.

ロンドンで初めて、ミュージカルを楽しんだ。

選んだのは、Billy Elliot。元になったのは2000年のイギリス映画で、放題は『リトル・ダンサー』。イギリス北東部の炭鉱の街が舞台。ボクサーにさせたい父親の反対を押し切ってダンサーを目指す少年、ビリーの物語。

一番印象的だったのは、ビリーと親友のマイケルがドレスを身につけてダンスするシーン。ビリーとマイケルが、カラフルなドレスとキュートなダンスと歌を披露。こんな楽しいシーンは初めてみた。感動!

また、バレエ学校のオーディションのシーンも印象深かった。オーディションを受けに来たもう一組の親子は、いかにもお金持ちそうな、ミドルクラスの親子。ビリーの父親はいかにも場違いな感じに戸惑う。こういう階級の違いの記述が、イギリスらしくて興味深いと思った。

一つだけ残念なことは、技術的な問題?か何かで、舞台が急に停止してしまったこと。すぐに再開されたけど、いきなりのことで、最初はなんだかよくわからなかった。クライマックスのシーンだったのに・・・でも、主役の子はそんなアクシデントに負けずに頑張っていた。3時間の舞台で出ずっぱり。(学校とかはどうしているんだろう...と変な心配をしてしまったけど、)彼の歌もダンスも演技も素晴らしかった!

The University of Leicester

2月19日から22日までは、レスターとロンドンの旅。旅の記録、まずはレスター大学訪問!

I went on a trip to Leicester and London on 19th to 22nd February. On Friday I
visited the University of Leicester with my colleagues.

The University of Leicester is a public research university based in Leicester,
which is a city in the East Midlands of England. The University was founded as
Leicestershire and Rutland University College in 1921. The main campus is south of the city centre, adjacent to Victoria Park.

My colleagues came from Japan to inspect an exchange program for our Japan-
ese students. Our university has students exchange programs with more than 200 universities abroad. We have both short term and long term programs, and one
of short term programs is conducted at the University of Leicester. This is the
English learning program for four weeks. About twenty students join the program.

We observed the classes and discussed our program with persons concerned at
the University of Leicester. I was glad to have a great opportunity to learn
about English programs for Japanese students and the University of Leicester.

It was a pity that it was cold and raining all the day. I did not take any
picture of the campus. This is a picture of an unique lift of the social sciences
building. There is no door. It keeps moving so we have to get on in time.